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その女の子が信じてくれたなら、ドロボウは空を飛ぶことだって、湖の水を飲み干すことだってできるのに
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つい先日、最終巻となる15巻。「ローマ世界の終焉」が刊行されたばかりですね。
早く、はやく文庫化してくれ。でないと俺は一人でも暴動を起こすぞ。
まとめて文庫化して~。


点数:7点
寸評:ちょっと繰り返しの説明ががくどいかな。
期間:12/1~12/16。遅い?だって、クロボンがさあ・・・。


半年ほど前、ある友人にローマ人の物語のことを話していました。
「俺は10年、文庫化を待った。そして、全巻が文庫化されるのは、はやくてもあと4年くらいかかるだろう。それまで、たとえ図書館で出会おうと、本屋に山積みになっていようと、俺は読まずに待つつもりだ。全巻文庫化まで、絶対に我慢してみせる」
こういったら、
「妥協も必要だよ?」
といわれてしまいました。
その友人、なんというか深い人間でして、そんな性格から推して、本のことではなく色んな部分、特に私の性格について言われたような気がして、いや、感じすぎかもしれませんが、ともかく、その後1ヶ月間、この言葉が私を悩ませました。
「俺って、そんなにエゴイストかな?」ってな感じで。
言った本人も、そこまで考えてないかもしれないし、忘れているかも知れませんけど、こういう変な性格がある私です。
ひたすら自分の中でウダウダと考えて、自己嫌悪の世界に落ちて行き、そろそろ死にたいな・・・みたいなね。ええ、阿呆です。
ま、いいです。


で、「すべての道はローマに通ず」です。
ローマ人~の中では、第10集目にあたります。集という言葉を使っておりますが、文庫本で読んでいる私の感覚でして、ハードカバーでの10巻目のことです。
文庫だとハードカバーを2~4冊に分けているので、巻と呼ぶのは変な気がするんですね。
なので、集といっております。

この集では、ローマにおけるインフラストラクチャーに特化して書いてあります。
ローマにおけるインフラとは何か?
代表的な例で挙げると、ローマ街道ですね。これは特にお勉強したことがなくても、一般常識の範囲で知っていると思います。
整然として、しかも細部まで作りこまれた石畳の街道です。その精巧さ、耐久性、利便性、巨大さ、長さは中国にまで轟き、秦の始皇帝もこれを真似して道路普請に熱をあげた理由となったのではないかと言われたり言われなかったり。
始皇帝は、この道路工事にアホみたいに人民をこき使い、結果人心が離れ、自分が死んだあとに暴動がおき、史上初めて中国全土を統一するという偉業を成し遂げた帝国は、たったの20年で幕となったのでした。

手にしたムチで地面を引っ叩き、陳勝曰く、
「王侯相いずくんぞ種あらんや!!」

街道の他は、まず上下水道です。これも有名ですね。
巨大な高架を石から造り、そこに水を流したわけです。カリオストロにでてくるような、あんな感じの高架水道ですよ。
といっても、インパクトの強い高架の部分は実際は少なく、ほとんどが地下のトンネルだったわけですが。
それでも、この長大なトンネルと高架を山ほど造り、あらゆる都市に水道を整備し、首都ローマに至っては10本くらいの水道があったようです。

街道と水道。両方とも、キリスト教徒の略奪に会いながらも、2000年ちかい歳月を風雨に晒されながらも生き残り、今日では遺跡となっております。
これだけで、いかに緻密に造られた建造物だったかがわかりますね?
ガンプラなんぞ外に放置しておけば、もって2年です。ローマのインフラはガンプラの1000倍の性能を持っているわけです。いや、そういうものかどうかは知りませんが。

この本、これらの遺跡の写真が沢山載っていて、それを見るだけで楽しいです。
街道を歩く旅人、2000年前の少年と父親の図を想像してみてください。

その他、医療、教育などに関するインフラも、この本では書かれています。
これらはどのような形で行われたのか。
ここら辺は非常に興味深いです。

これだけのインフラを整備するにはどれだけの金がかかったのか?
財源はどこにあったのか?
利用するのには、どれだけの費用を個人が負担しなければならなかったのか?
これほどの巨大かつ精巧な建造物を大量に作って、採算は取れたのか?
どれほどの年月をかけたのか?

などなど、現代に生きる私たちには当然の様に浮かんでくる下世話な思考ですが、教えてあげません。
興味のある人は読んでみては?

内容的にとてもいいです。
相変わらず、一読しただけで分からせてくれる構成力は脱帽です。
読みやすく、平明な語彙は好感が持てます。学者さんが大好きな、無駄に入り組んだ修辞や、まず使わない言葉を多用する姿勢は好きになれないので。
分からせることが、文章の第一命題です。正確を期するために、言葉が非日常的な語彙になるのなら仕方ありませんが、学者さんはそうではないですから。

インフラという題材を扱う以上、歴史の叙述のように順番に書くことはできません。それをこうまで分かり易く纏めたのは偉いです。

が、ちょっとくどいです。説明が。これはさっきも読んだよ、っていうのが結構出てきます。
これまでの集でもあったのですが、今回はさらに多いかな?
平気で時代が前後したりする題材ですから、著者も読者に分かってもらうためにわざわざこうしたのでしょうが、ちょっとね。
前書が今回は長くて、以下のようなことを書いてあります。
「時代が前後したり、ガリアを語ったかと思えばエジプトに飛ぶということは日常茶飯事である。読者もすべての時代、すべての地域を頭にいれて、この巻を読んで欲しい」
とか。ごめんなさい、塩野さん。ハッキリ言っちゃいます。
言い訳がましいです。

文章がちゃんとしていれば、読者は勝手に読み解くものですし、面白ければ分からなかった箇所は再読するものです。
予防線は必要ないのでは?

そんな訳で、上の下という評価で7点です。
読む前は、今回はあまり面白くないかと思っていたのですが、なんのなんの。
かなり面白いですよ。

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