いやー、やっぱりF-20は格好いいよ。
時は今から25年も前。
私が小学生だった頃、親父に見せてもらったエリア88。
そこに登場するF-20に私は完全にノックアウトされてしまいました。
当時、ガンプラをお小遣いで買っていた私は、ガンダムよりもF-20の方が欲しくなり、手元にあるお金でこのキットを買いました。
まさに、今回作ったキットと同じものを。
このキットは29年前に発売されたわけですが、考えてみれば当時はバリバリのニューキットだったわけですね。
小学生では当たり前ですが、模型を塗装したりする道具もなければ根気もありません。
なので、当然、無塗装で接着剤ベタベタ。オマケにキャノピーにシンナー接着剤が使えないとは知らなかったので、塗りたくって無理矢理くっつけました。キャノピーは白くなってしまいました。
あ、黒鉄色だけ持ってたな。エンジンノスルだけ塗ったよ。
それでも当時の私は満足し、風間真ごっこをして遊んでいたわけです。
ごっこをするにもF-20だけでは物足りないと、戦友のミッキーの乗機であるF-14を買いました。
これまた当然、新版の凹モールドの方ではなく旧版の凸モールドの方ですけどね。数年前に作ったやつです。
こいつをF-20と同じようにただ接着して完成とし、遊んでいました。
F-14に比べてF-20の武装が貧弱だったのが不満だったな。
飛行機を作っている私を見て、親父は、
「こういうのは、ちゃんと色を塗るんだよ」
と言いましたが、そもそも塗料を帰るだけのお小遣いを貰っていない私に、よくそんなことを言えたもんです。
じゃあ、アンタが買ってくれよ!!
当時のお小遣いは月500円でしたからね。
ひと月に1個もキットを買えない子供でした。
塗料なんて買った日には、筆と塗料だけで二ヶ月分のお小遣いがなくなりますよ。
そんなことを子供がする訳ないでしょうに。
それから四半世紀が流れ、時代は変わり、人が入れ替わっても、キットは変わりませんでした。
そして、再度このキットを手に取り、ふんだんに使える道具を使って、子供の頃に憧れた風間真の乗機を再現できました。
感無量です。
このキット。実は、模型に復帰してからすぐに買ったのですよ。
なので、もう手元に来てから8年ほど経っています。
同じ頃に買ったF-16はもう大分前に作ったのに、これは作れませんでした。
それはやはり、風間真仕様を作りたいという気持ちがあったからです。
風間真仕様にしようとすると、どうしてもユニコーンのエンブレムが問題となります。
デカールは当然持っておりませんし、ハセガワが再販する兆しも見られません。
なので、塗装でどうにかするしかないということなのですが、その方法が見つからない。
そもそも、あんな複雑な絵を塗装で再現できると思えない。なぜなら、私は超絶不器用だから。
そんな感じで逡巡してしまったのですが、その背中を押してくれたのがフリーダムモデルキットの48発売の報でした。
作るなら今しかない!
この48を作りたいと思ったとき、やはりエリパチ仕様でという思いが浮かんでくるわけです。
しかし、やれる自信がない。
ではまず、練習をしてみよう。
幸いなことに、手元に72のF-20がある。
まず、これで出来うる限りのことをやってみようではないか。
その上で、できないと思えば普通に試作機仕様で作ればいいし、できそうならエリパリ仕様で作ればいい。
そう思ったわけです。
そこからアレコレと考え、結局、フリーハンドでユニコーンを描くよりもマスキングで塗装する方が現実的だし、マスキングするのならこれしかないという方法を考え、今回やってみました。
縁取りもないのでイマイチはっきりとしないですし、オマケに角や目を描くこともできませんでした。
が、イメージとしては、割とうまくいったのではないかと思います。
ま、あくまでイメージしか再現できていないので、正直48でエリパチ仕様に挑戦するかと考えると、やめたほうが良さそうだなと今は思うわけですけどもね。
72だからまだ許せるアラですが、48になったらちょっとね・・・。
ユニコーンのデカールが何かの間違いで発売されれば、挑戦するかもしれませんね。
あとは適当に写真をば。
F-20の、胴体がキュっと絞り込まれてノズルへとつながるラインが、実に格好いいですね。
F-5は、ここがイマイチなんですよ。横から見ると尻下がりに見えるし、上下から見ると幅広で微妙。
まあ、ちょっとダサいほうが、F-5という燻し銀の機体にはキャラクターが合っているのかもしれませんけども。
アメリカ軍きってのエースパイロットであり初の超音速パイロットとなった、チャック・イェーガーが絶賛したF-20。
その高機動性は折り紙つきで、試作機が墜落事故を起こしてしまったのも、機体の不具合ではなく、その高機動性にパイロットがついていけなかったからだと言われています。
しかし、いかに優れているとしても、簡単に言えば、既存の技術でもって究極にまで磨き上げた機体だったわけで、フライバイワイアやCCVなどといった革新的かつ発展性に富んだ技術を用いて設計されたF-16の前に採用は見送られ、F-20のプロジェクトは幕を閉じます。
悲運の名機ですね。
ちなみに、ノースロップはF-16に対してYF-17でもコンペで敗れているわけで、言ってみればF-16という一つの機体にメーカーとして敗れ去ったとも言えます。
YF-17は、その後海軍に正式採用され(エンジンが二つあるからという理由で)、F/A-18となったわけですが、ノースロップに海軍機を作ったことがないという理由で設計のやり直しと生産は別のメーカーに依頼されてしまいました。
ノースロップはこの後衰退し、やがてグラマンと合併することになります。
ドラマ性に富んだF-20の背景ですが、これもまた風間真という男にあっているように感じます。
政治的事情により翻弄され、当て込んでいた海外ユーザーへの販売の道も閉ざされ、高性能化で生き残りを図るも革新的なF-16という機体の前に破れさり、消えていくF-20。
親友と思っていた神崎に裏切られ、アスランの外人部隊に入隊させられ、恋人のもとに帰るために、日々、嫌悪してやまない人殺しを繰り返し、除隊するための違約金を稼ぐ男。風間真。
滅び。
滅びたものは美しいが、滅びるものは無残だ。
そんな哀愁が、この一人と一機には似合います。
それでも力強く生きていくからこそ、風間真は格好いいのであり、ヒーロー足りえたのでしょう。
逆境の中で挫折することなく、誰にも愚痴ることなく、己の心を自分で温め、未来を信じ、恋人を信じる。そういうハードボイルドなヒーロー。
しかし、俺には関係のないこと。
他人の過去を語るは無用。聞くは無作法。
それが外人部隊だと教えられてきた
昨今の漫画やアニメ、映画にも、こういうところは見習って欲しいものです。
今、ないですもんね。ハードボイルド。
時代と言えばそれでお仕舞いなんですけど、人が変わるわけはないので、単に制作の現場にいる人の質の問題だと思います。
受けないから作らないのではなく、受けるクオリティのものを作れないだけでしょう。
何でもかんでも時代のせいにする人を、私は信用しません。
人の本質は変わりませんから。
さて、長々と書いてきましたが、この辺で幕とします。
遠い昔に憧れたF-20。それがここに来るまでに流れた時間の膨大さと、失ったものと得たもの、変わったもの、変わらないもの。
エリア88を私に教えてくれた親父は向こう側に行きました。
そんなことを考えさせてくれるF-20でした。
だから俺は戻るのさ。
このこだわりを消すために。
最後に、
この間作ったBf109Eと比較。
やっぱりレシプロ機は小さいなあ。
F-20はこれでも軽量戦闘機なんですけどもね。
ここにも、変わったものと変わらないものがあるわけです。
そんなわけで、今日のF-20はお仕舞い。
では。