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その女の子が信じてくれたなら、ドロボウは空を飛ぶことだって、湖の水を飲み干すことだってできるのに
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「蝉しぐれ」

点数:8点
寸評:人を思う心とはかくあるべし!

さて、藤沢周平の傑作の登場です。
数年前に映画化され、知名度はかなり高い作品ではないかと思います。
が、あらかじめ言っておきます。

「小説と映画は別物」

なんでもそうですが、小説を映画化した場合、そのクオリティは相当に下がると思った方がいいです。
ハリーポッターは知りませんけど(読んだことがない)、私が知る範囲では、小説よりもよかった映画など存在しません。

考えてみれば、「たそがれ清兵衛」なんて、かなり無茶な映画化でしたから。
いや、あれもアレで良かったですよ?が、小説版とはまったく違う内容ですよ。
同タイトルの短編小説からいいトコ取りをして、纏めたものが映画バージョンですからね。

さて、蝉しぐれですが、これは紛れもない傑作です。
私、この本を初読したとき、徹夜しました。久しぶりでした。読書で徹夜したのは。
最近、数巻続く本を読むことが多かったので、徹夜してまで読むことがなかったのですな。
ローマ人の物語は本当に面白い歴史叙述ですが、なにせ23巻(当時の文庫版が)もあったわけです。
なので、徹夜してまで一気読みなんて考えもしません。
無駄な抵抗ですからね。

が、蝉しぐれはやってしまいました。
400ページちょっとの内容ですから、徹夜すればいける範囲ですよ。一気にもっさりと読みきりました。

内容はというと、ある少年と少女を描くところから始めるわけです。
彼らがどんな関係で、どんな世界に住んでいるのか。これを丁寧に、しかししつこくならない程度に描いていくんですな。
この辺、さすがに往年の小説家です。上手いもんですよ。

少年と少女の心温まる触れ合い(恋愛ではなく)があり、そこはかとなく漂う慕情がそこに感じられます。

が、やがて少年に悲劇が襲いかかります。
少女は、少年の悲劇を救えないまでも、少しでも共に分かち合おうと、行動で示すわけです。

後、少年は悲劇に押しつぶされそうになりながらも、懸命に自己を維持するため、剣道に打ち込みます。
が、やがて少女との別れが来ます。

少女が別れの挨拶に来た時、少年は道場でシゴキにあっていました。
結局二人は会えず、心にしこりを持ったまま、少年は歳月を跨いでいくのです。

その後、心の一滴を壊してしまう事態が持ち上がります。
少女がなんと・・・。
少年はそこから、心の乾きを背負っていくことになります。
あの時、少女がお別れを言いに来た時、俺が会えていたなら・・・。

月日が過ぎ、少年は青年となり、大人の世界に踏み出します。
そこへ、大人の女性となった少女が絡んできます。
数年ぶりに再開する二人。
少女を襲っためまぐるしい運命。それでも少女を守るため、全身全霊を尽くす少年。

それから20年後・・・。もはや中年となった二人。
その二人の最後の邂逅が待っていた・・・。

「~そのような道はなかったのでしょうか?」
「それができなかったこと。それがし、人生最大の悔いとしております」

なんのことか分からないでしょうし、これを見てもありがちだね!なんていったらいけません。
この本は優れた小説です。ここまで読んで「読まなくてもいいかな」って思ったなら、それは私が悪いのです。
ここまで丁寧に人の心を書いた小説は読んだことがありません。
最後の二人の会話。あれを読んだ時、人ってこういうものだよなあって思いました。

ほんのちょっと歯車がずれただけで、報われない思いってのがあるわけです。
でも、その思いは、その人が生き続ける限り、ずっと心の中で血を流し続けるものです。
その思いが救われたような、ね。

これを読んで感動できるのは、おそらく男だけです。
女性はもっと分かり易く、明確な答えを求めるでしょう。

男性諸君。一度読んでみては如何だろうか?
心を焦がした事のある人なら、きっと知らずに涙が出てくるはずであ~る。

いじょ。
また。

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