その女の子が信じてくれたなら、ドロボウは空を飛ぶことだって、湖の水を飲み干すことだってできるのに
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「カリオストロ伯爵夫人」
点数:7点
寸評:いまいち釈然としない箇所もあるが、全体的に凄く面白い。
カリオストロとくれば、我が日本国なら「ルパン三世 カリオストロの城」ですね。
これの題材となった物語が、このカリオストロ伯爵夫人です。
勿論、モーリス・ルブランが書いたアルセーヌ・ルパン物語の中の一つです。
これが書かれたのは、ルパンの中でも終盤、というか実質最後の発表作となるのかな?よく分かりませんけども。
ま、そんな感じの時期にかかれたものですね。
が、物語はルパンが若い頃という設定で書かれています。
そう。ルパンがまだ二十歳そこそこの頃ですよ。
最初のルパン夫人(!)が登場するという、ルパン研究家には欠かせない物語です。
何を隠そう、この最初のルパン夫人こそがクラリス・デティグ。つまり、ルパン三世・カリオストロの城に出てくる芳しい乙女の原点なわけですね。
ルパン三世が好きな人は、是非とも読んでみては如何でしょうか?そのあまりの違いに愕然としつつも、楽しめますよ。
で、この本、私は既に3回くらい読んでいました。今回、4度目を読了ということでレビューでもしてみっかと。
やはりルブラン。毎度のことですが、無駄に場面を盛り上げようとするところは同じです。
修辞は多いのですが、実際にはそれほどたいしたトリックは使っていないところが、ルパンのミソです。
「真実を知れば、たったそれだけのことかと誰しもが言うでしょう。が、たったそれだけのことを思いつくか否かが、偉大さと凡庸さの違いなのです」
そんなことをどっかでルパンは言っていましたが。
ルパンといえば、ミステリと誰しもが思うでしょうが、ホームズ物なんかを読んでしまうと、ルパンはミステリというよりも冒険譚といった方が相応しいなと思います。
実際、この物語も冒険譚です。
フランスに伝わる秘宝を巡り、3つの勢力が凌ぎを削るという。
物語には2人の女性が登場します。
一人がクラリス。もう一人がジョセフィーヌ・バルサモです。ジョセフィーヌはかの有名な詐欺師、山師、錬金術師だった(要するに如何にも中世的な細木カズコですが)、ジョゼッペ・バルサモの娘という設定で登場します。
この辺は、中世ヨーロッパの歴史を齧っていないと、その謎めかしさや面白さが分かり辛いかもしれません。
まあ、調べてみるといいと思います。いまや、この手のオカルト関連はネットで幾らでも調査できますから。サンジェルマンとかも面白いですよ。
まあ、それは置いといてと。
この二人の女性の間で、ルパンは揺れ動くわけです。この辺の感性はいかにもフランス人という感じで、日本人の私には理解できないんですけどね。
恋愛を至上とする民族ですから、フランス人はね。ま、フランス人にノーマルとアブノーマルの差はないなんてことも聞きますけど、どうなんでしょう?普通にサンピーをするみたいですし。
そうして見えてきたものは、ジョセフィーヌはどうやら犯罪者だったということ。
それは、ルパンも許しがたい、殺人や脅迫をもしている悪人であったこと。
唾棄すべき犯罪者であると同時に、男を虜にするジョセフィーヌ。
クラリスとジョセフィーヌ。どちらを愛すべきか?苦しむルパン。
ルパン、ジョセフィーヌ、もう一つの団体。秘宝を巡り、3つ巴の戦いが始まる。
誰が勝つのか?
秘宝の秘密とは何か?
ルパンとクラリス、ジョセフィーヌの三角関係の行方は?
結末は如何に?
それは読んだ人だけのお楽しみ。
ちなみに、この物語には続編があります。
「カリオストロの復讐」という小説ですが、これはたいしたものではないです。これの荒筋を書くと、どうしても「カリオストロ伯爵夫人」の結末に触れざるを得ないので、止めておきます。
まあ、伯爵夫人を読めば、大体の内容は判るはずです。何が復讐なのかはね。
ルブラン。本当は文学を書きたかったのです。最初に書いた作品も純文学でした。
それの評価も高く、先輩であり師でもあったモーパッサンと並び評されたくらいでした。
「これがモーパッサンなら、最高のモーパッサンだ」とね。
が、たまたま小遣い稼ぎのために書いたルパンが凄く好評で、読者と編集者の要望で続きを書くことになりました。
その結果は知っての通り。ルブランといえばルパンということで、純文学を書かせてもらえなくなったのでした。
本人もこれには悩んだようで、ルパンが売れれば売れるほど、孤独を抱えるようになったそうです。
理想と現実の狭間の葛藤ゆえでしょうか?この小説には純文学的な恋愛が多く含まれています。ルパン、クラリス、ジョセフィーヌの三角関係ですな。
これが良かったのかどうかは人によるでしょう。
この辺の作者の意思とは別にってところ、ホームズの生みの親であるコナン・ドイルも同じですね。
歴史作家を自認し公言もしていたにもかかわらず、ホームズばかり書かざるを得なかったと。
こんど、ドイルの「白面の騎士」って本を読んでみたいのです。図書館においてあったのでね。本屋にないんですよ。
才能ってのは本人の考えとは違うってことでしょうかね?
あるだけマシってのもいえますが。
って、ルパンから随分とずれたな。
ま、読んでみては?面白いことは請合いますよ。
点数:7点
寸評:いまいち釈然としない箇所もあるが、全体的に凄く面白い。
カリオストロとくれば、我が日本国なら「ルパン三世 カリオストロの城」ですね。
これの題材となった物語が、このカリオストロ伯爵夫人です。
勿論、モーリス・ルブランが書いたアルセーヌ・ルパン物語の中の一つです。
これが書かれたのは、ルパンの中でも終盤、というか実質最後の発表作となるのかな?よく分かりませんけども。
ま、そんな感じの時期にかかれたものですね。
が、物語はルパンが若い頃という設定で書かれています。
そう。ルパンがまだ二十歳そこそこの頃ですよ。
最初のルパン夫人(!)が登場するという、ルパン研究家には欠かせない物語です。
何を隠そう、この最初のルパン夫人こそがクラリス・デティグ。つまり、ルパン三世・カリオストロの城に出てくる芳しい乙女の原点なわけですね。
ルパン三世が好きな人は、是非とも読んでみては如何でしょうか?そのあまりの違いに愕然としつつも、楽しめますよ。
で、この本、私は既に3回くらい読んでいました。今回、4度目を読了ということでレビューでもしてみっかと。
やはりルブラン。毎度のことですが、無駄に場面を盛り上げようとするところは同じです。
修辞は多いのですが、実際にはそれほどたいしたトリックは使っていないところが、ルパンのミソです。
「真実を知れば、たったそれだけのことかと誰しもが言うでしょう。が、たったそれだけのことを思いつくか否かが、偉大さと凡庸さの違いなのです」
そんなことをどっかでルパンは言っていましたが。
ルパンといえば、ミステリと誰しもが思うでしょうが、ホームズ物なんかを読んでしまうと、ルパンはミステリというよりも冒険譚といった方が相応しいなと思います。
実際、この物語も冒険譚です。
フランスに伝わる秘宝を巡り、3つの勢力が凌ぎを削るという。
物語には2人の女性が登場します。
一人がクラリス。もう一人がジョセフィーヌ・バルサモです。ジョセフィーヌはかの有名な詐欺師、山師、錬金術師だった(要するに如何にも中世的な細木カズコですが)、ジョゼッペ・バルサモの娘という設定で登場します。
この辺は、中世ヨーロッパの歴史を齧っていないと、その謎めかしさや面白さが分かり辛いかもしれません。
まあ、調べてみるといいと思います。いまや、この手のオカルト関連はネットで幾らでも調査できますから。サンジェルマンとかも面白いですよ。
まあ、それは置いといてと。
この二人の女性の間で、ルパンは揺れ動くわけです。この辺の感性はいかにもフランス人という感じで、日本人の私には理解できないんですけどね。
恋愛を至上とする民族ですから、フランス人はね。ま、フランス人にノーマルとアブノーマルの差はないなんてことも聞きますけど、どうなんでしょう?普通にサンピーをするみたいですし。
そうして見えてきたものは、ジョセフィーヌはどうやら犯罪者だったということ。
それは、ルパンも許しがたい、殺人や脅迫をもしている悪人であったこと。
唾棄すべき犯罪者であると同時に、男を虜にするジョセフィーヌ。
クラリスとジョセフィーヌ。どちらを愛すべきか?苦しむルパン。
ルパン、ジョセフィーヌ、もう一つの団体。秘宝を巡り、3つ巴の戦いが始まる。
誰が勝つのか?
秘宝の秘密とは何か?
ルパンとクラリス、ジョセフィーヌの三角関係の行方は?
結末は如何に?
それは読んだ人だけのお楽しみ。
ちなみに、この物語には続編があります。
「カリオストロの復讐」という小説ですが、これはたいしたものではないです。これの荒筋を書くと、どうしても「カリオストロ伯爵夫人」の結末に触れざるを得ないので、止めておきます。
まあ、伯爵夫人を読めば、大体の内容は判るはずです。何が復讐なのかはね。
ルブラン。本当は文学を書きたかったのです。最初に書いた作品も純文学でした。
それの評価も高く、先輩であり師でもあったモーパッサンと並び評されたくらいでした。
「これがモーパッサンなら、最高のモーパッサンだ」とね。
が、たまたま小遣い稼ぎのために書いたルパンが凄く好評で、読者と編集者の要望で続きを書くことになりました。
その結果は知っての通り。ルブランといえばルパンということで、純文学を書かせてもらえなくなったのでした。
本人もこれには悩んだようで、ルパンが売れれば売れるほど、孤独を抱えるようになったそうです。
理想と現実の狭間の葛藤ゆえでしょうか?この小説には純文学的な恋愛が多く含まれています。ルパン、クラリス、ジョセフィーヌの三角関係ですな。
これが良かったのかどうかは人によるでしょう。
この辺の作者の意思とは別にってところ、ホームズの生みの親であるコナン・ドイルも同じですね。
歴史作家を自認し公言もしていたにもかかわらず、ホームズばかり書かざるを得なかったと。
こんど、ドイルの「白面の騎士」って本を読んでみたいのです。図書館においてあったのでね。本屋にないんですよ。
才能ってのは本人の考えとは違うってことでしょうかね?
あるだけマシってのもいえますが。
って、ルパンから随分とずれたな。
ま、読んでみては?面白いことは請合いますよ。
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