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その女の子が信じてくれたなら、ドロボウは空を飛ぶことだって、湖の水を飲み干すことだってできるのに
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「手のかかるキット=駄目なキット」なのだろうか?

塗装しなくてもいいキット。
接着剤も必要ないキット。
説明書どおりに組んで、長くても一週間、やる気になれば1日で完成するキット。
それが本当にいいキットの前提条件なんだろうか?

面倒臭がりで不器用な私に、そんな問いを投げかけたキット。
模型というものの根源的な命題に遭遇させたキット。

WAVEさんの1/144レッドミラージュ。

それはおそらく、レッドのデザインとこのキットの造形が、当時の私が見たことのある模型(当時はガンプラばかりですが)よりも圧倒的に優れていたからこそ、湧き上がり、成り立った疑問なのだと思います。
勿論、今ではもっと手のかかるキット(ガレキだけでなくプラキットですら)があることは知っています。
が、当時はMGのようなキットが当たり前だと思っていたのです。はめ込み式で、色分けが綺麗になされていて・・・と。

私は組み立てにかかっていないキットの取説を枕元に積み重ねておき、夜な夜なそれを精査して、できもしない改造・改修工程を考えて楽しむ癖があります。
沢山積んである取説の中で、一番多く眺めていたのは、やはりレッドでした。

これだけ優れた造形を、私の手抜きや技術不足のせいで中途半端にはしたくない。
丁寧に作り、綺麗に色を塗れば、もっともっと強烈な色気を持つキットになるはずだ。
どうやれば綺麗に塗れるだろうか?

取説を見ながら、何度もシミュレートしました。
どう考えても、筆では綺麗には塗れない類のものだ。
研究すればするほど、それが分かってきました。

中には超絶技巧で、筆でもって優れた塗装をできる方もいるのだと思います。
私もそれを信じて、筆塗りを練習しました。というか、模型制作に関わる様々な技術を調査し始めました。
この面倒臭がりで不器用な私が・・・。
これはレッドミラージュの魔力ですね。

が、筆塗りはやればやるほど、限界が見えてくる塗装法でした。少なくとも私にとっては。
で、当然スプレー塗装も考えます。スプレーなら、エアブラシよりも安価で、そこそこのクオリティを出せるんじゃないだろうか?

ですが、これも愚論です。スプレーは噴出する力が強すぎて、どうしても厚吹きになります。
繊細にして細かいディテール、モールドを沢山もつモーターヘッドには、厚い塗膜は天敵です。
それに、スプレーって調色ができませんし、それによって表現幅の限界性能が低いです。
なによりスプレーが高いのが辛いです。1缶600~800円として、一体塗るのに3~5本の色の種類が必要。
馬鹿げていますね。
スプレーを使うくらいなら、エアブラシを買った方が全然マシです。
スプレーはランニングコストが悪すぎますから。
これは、簡易エアブラシも同じことが言えますね。エア缶だけで、一体幾ら・・・。

どう考えても、その当時の私では、望まれる最低限のクオリティすら、到達できそうもないキットでした。
なので、色々なキットを作りながら、一つずつ技術を習得していこうと考えました。
そうです。レッドミラージュに会って以降のキットは、ある意味レッドを、FSSのキット達を綺麗に作るための予行演習だったのです。

ノウハウを蓄積するための実戦


それがレッドミラージュに出会って以降のキット制作の主眼だったのです。
すべての消滅点、ゼロの焦点はレッドミラージュに、FSSにあったのでした。
勿論、アーマードコアなどの優れたキットは予行演習というつもりではありませんでしたけどね。
デキの良いキットは、当然、現時点での最高を目指しました。

平行してFSSの調査、研究も進んでいきます。主に模型に対する調査であって、本編の漫画ではありませんでしたが・・・。
この便利な時代。ただで幾らでも良質の情報を集められますからね。
本人に主体性とバイタリティさえあれば。

その結果知ったのが、凄絶とも言える造形美でした。
FSS関連のレジンキャストキット、つまりはガレージキットの群れ。
そのクオリティ。その美しさ。
ガンプラしかろくに知らなかった私には、本当に衝撃的な造形でした。

これが本当に模型なのか・・・

工芸品にしか見えませんでした。
息を呑むほど、溜め息が出るほど、格好いい、美しい、色気のある、面白みのある、存在感のある造形。
それがFSSのガレキでした。
ガンプラとはまったく世界が違う!!
そう感じました。

一時期、FSSのデザインを見たあとでは、ガンダムのデザインなど子供だましにしか見えない。そんな不遜なことも思っておりました。
今では、ガンダムにはガンダムのよさがあると思ってますけどね。

ナイト・オブ・ゴールド。オージェ。エンゲージorジュノーン系。ネプチューン。ボルケシェッツェ。エイトール。ジ・エンブレス。ファントム。ガスト・テンプル。アシュラ・テンプル。バッシュ・ザ・ブラックナイト。
他多数。

数え切れないほど、秀逸なデザインが、FSSには登場します。
そのどれもが私を魅了しました。
でもなぜかレッドミラージュに戻ってくるのです。
やっぱりレッドミラージュは特別だから・・・と。

これらのデザインに魅了された結果、私は模型に湯水の様にお金を費やし始めました。
レッドを綺麗に塗装するには、やはりエアブラシは必要だから。そう考え、買ってしまいましたしね。
ええ、レッドミラージュを塗装するために、エアブラシを買ったのですよ、私は。
今でもガンプラしか見えていなかったら、エアブラシは買わなかったでしょう。
何だかんだ言っても、バンダイのキットは親切ですからね。無塗装派、部分塗装派にも優しいキットです。
これは大事なことです。あらゆる価値観を持つ人に受け入れられ易いってことですからね。

それからは、エアブラシと同額かそれ以上のお値段のするガレキを幾つも買ってしまいました。
その秀逸な造形に魅せられて。
作る技術もノウハウも持っていないのに・・・。

模型とは本来、「このデザインすげー。立体が欲しい!!」
その欲求から来ている趣味なのでしょう。
だから、ガレキ一体2~4万もしようと、その造形が優れていれば衝動を抑えられないのです。
FSSのガレキほど、クオリティの高いキャラクターモデルのカテゴリは存在しないのではないかと思ってしまいます。
それはおそらく、永野さんの定見によるものなのでしょう。
元々、永野さんは真・模型野郎なのです。模型コンテストに出品したこともあるくらいの。AFVが大好きとか。

ガンダムはバンダイしか模型を出していません(ガレキでごく一部の例外はありますが)。
だから面白みが薄い。

ですが、FSSは4社(今は3社ですが)に競作させることによって、そのクオリティを高めてきたという、キャラクター模型界においては類稀なカテゴリなのです。
しかも、インジェクションでは再現不可能なほどのハイディテールなデザインを、何とか立体化させようと執念で作ったゴッドハンド原型師さんの力を、思いっきり目の当たりにできるのがガレキの面白みです。
大手に版権を降ろして、大量生産品の甘い造形を許さなかったことも大きいでしょう。
これによって、原型師さんが受けた恩恵は物凄く大きいでしょうしね。
だからこそ、FSSの造形は優れているのでしょう。

ノウハウは蓄積すればいい。
技術は実戦でしか手に入れられない。
だったら、作ってみればいい
「作るのが難しいから」という腑抜けた理由だけで、この素晴らしいデザイン・造形に触れないのは馬鹿げている。

「手がかかるということが、すなわち駄目なキットだという根拠たり得るか?」

模型を作り始めて3ヶ月目にして初めてその疑問に到達して以来、答えに近付くべく、私なりに色々とキットを作ってきました。
その中で作った最近のキット・古いキット、わけてもアーマードコアという、プラキットで最高峰の模型から得た一つの結論。
普遍的結論ではなく、「現在のところの結論」という但し書きが着くことは間違いありませんが。
その結論とは・・・

「良いキットとは、素晴らしい造形美を作り手に与えてくれるものを指すのであって、負担労力とは関係ない」

というものでした。
かなり重たいMGと比べても、圧倒的な作業量を強いるキットです。ACは。
基本工作も、塗装も。何もかもがMGとは桁外れに手間がかかります。
それにもかかわらず、モチベが衰えることはありません。
むしろ、もっと格好よく出来ないかと、さらに工夫をしたくなります。

なぜか?

この問いに答えられるのは、やはり上の解しかないような気がします。
普遍的結論ではないと言いましたが、それは色んな人がいるからです。
私個人としては、普遍的結論です。

だって、模型を作ること自体、既に非合理的ですからね。
そこそこの値段で、そこそこのクオリティを持つ完成品を買える現在では特に。
「自分で作る」ということに楽しみを見出さない場合は、ですが。

この結論が変わるときは、おそらく私の中で模型というものの意味が変わったときでしょう。
「作るのが面倒臭い。飽きた」
そうなれば、この結論もまた意味を成さなくなるでしょうから。

私を模型の深遠の淵まで連れて行ったレッドミラージュ。
他のデザインに心を奪われても、やはり戻ってくるところ。レッドミラージュ。

まずはL.E.D.mirageから

WAVE製の1/144・レッドミラージュ。数あるFSSキットの中で、一番手軽だと思われるもの。
FSSキットのために知識を得て、技術を磨いたのです。
FSSキットのために、エアブラシを買ったのです。
今の私で充分だとは思えませんが、漸く私はその発端に手を触れる覚悟ができました。
淵からその深奥へと。
これに続く、FSSガレキへの道筋として・・・

あとは、やるだけ

「最強の幻像」。レッドミラージュ。
憧れが像を結び始めます。

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無題
はじめまして,私もいま全く同じような状況にいます.

少年のころはあたりまえにガンプラへはまり,筆塗りの毎日,エアブラシがあこがれでした.その後プラモを離れてましたが,ここ数年はMG,HG,最近ではPGガンダムもつくって喜んでました.

しかし,2ヶ月前に秋葉原で大好きなアシュラ・テンプル(試作機)に出会ってしまいました.そこにはLEDのインフェルノ,サイレン重装備に皇帝機,ヤクトまで,,,,
奥さんの前で3万のキット,それも技術的に作れっこないをキットを買うのは覚悟が要りましたが,結局それで吹っ切れました.これを作れるようになればいいんだ,と.

いまでは塗装ブース,エアブラシ,ヤスリ各種,サーフェイサー,パテ,溶きパテ,マスキングテープ,”ガンプラ大好き”や”ノモケン”など模型の本が7冊ぐらい,,,,,キットもアシュラ・テンプル量産機,BANGインジェクション,黒騎士も予約,ガンプラもマラサイ,MGグフ,,,,,

とりあえずまずは基本を学ぼうということで,本を読みながらHGズゴッグ(量産機)をコツコツ作ってます.先は長いですが,子供のころの夢がかなったようでとても充実してます.
原田 祐嗣 2009/12/28(Mon)13:21:51 edit
Re:無題
はじめまして。
コメントありがとうございます。

やはり、みんな多かれ少なかれ、同じような体験をするんですよねえ。
衝撃的な出会いと、目覚め。
自分が根本的に「何がしたいのか」分かる時ってあるんですよねえ。

結局、模型って格好いいものを作りたい。手元におきたいって欲求から来ているのは誰しも同じだとは思うのですが、そのための塗装やペーパーがけやその他、膨大な作業をこなしたくないって人は多いと思うんですよ。

でも、膨大な作業を頑張ってでも、キチっと仕上げたいと強く思わせるキットと出会うと、本当の意味での「作る」ってことを始めるんですよね。
目標ができる分、幾分苦も薄らぎますし。
そのキットを格好よくするために、何をすればいいのか?何ができるようになればいいのか?などなど考えるのも楽しいですし、その目標のために色々と実験をして、ノウハウを身に付けていくのもワクワクしますしね。

私のほうは、現在、まったく作れない状況となってしまっていますが、まだ情熱は失っておりません。
停止している間に、かなり魅力的なキットが沢山出ていますしね。
またいずれ時間ができれば、制作記を再開していきたいと思いますが・・・。

原田さんは充実していらっしゃるということで、羨ましいですなあ。
作品など、是非拝見させていただきたいものです。

それでは。
【2009/12/31 00:00】
はじめまして
亀のような歩みで1/144レッドミラージュを作っている者です。
「手のかかる」キットの方が作っていて楽しいということはままありますね。
作り方が古い私には、缶スプレーで塗装すると塗面が擦れる程設計がタイトな最近のスナップキットの工作は辛いです。
政府開発援助 URL 2010/03/06(Sat)13:57:38 edit
コメントありがとうございます。
こちらこそ、はじめまして。

やる気を出すに値するキットや大好きなデザインだと、「手がかかる」ことが余計にいとしくなったりしますよね。
私がこれまで作った中では、アーマードコアがまさにそれでした。
手がかかった分、完成のカタルシスもひとしおですしね。

私もwaveさんのプラキット版レッドを作りたくて仕方ないのですが、時間がまったくないので、手も足も出せない状態です。

せめて10時には帰りたい・・・
【2010/03/07 23:33】
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