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さて、前回に引き続き、今回は救済されなかった機体。

前回の救済された機体はコチラ。
http://gunp.blog.shinobi.jp/Entry/846/

救済されたかどうかってのは個人の主観による部分が多く、意外と難しい。
特にスケールモデルともなると、コダワル人はいるもので、ドコソコの形状がおかしいだの、こんなモールドは実機にはないだの、果てはこのキットはA型としてはディテールは正確だがC型としては間違いだとか。

そんな細かいことを言い出すと、模型を作ることがつまらなくなりそうだけどな。

さて、はじめる。

<救済されなかった機体>

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○F-15系

扱いが難しい機体である。救済されていないと言えば、確かにされていないだろう。
だが、この間発表されたように、1/72でフジミがF-15Eを出すので、E型に関しては救済される可能性が高い。
もしかしたら、デカール替えでI型も出るかな?そうすると、この間発売されたハセガワ版ラームはどうしようか・・・。

イベントで公開された作例の写真は見たが、かなり綺麗なモールドに見えた。
が、所詮はでかい会場でのいい加減な写真なので、詳細なところは分からない。
なので、結局は自分で手にとって見るまで不明と言うことになりそうだ。
フジミのバトルスカイシリーズは、作例を箱に載せないしね。ホントにボックスアートがダサい。

また、タミヤの1/32を救済とすることもできる。
模型メーカーとして、タミヤのセンスは素晴らしい。
1/32という大きさをふんだんに利用して、あらゆるところに模型として面白い工夫を入れている。
これは、F-16で感動したことだし、P-51Dでは更に洗練されている。
が、1/32のF-15自体、おそらく1992年発売だし、パーツを見てみると分かるが、確かにディテールは素晴らしいが、それは1/32だからという感も否めない。
というのは、モールドが太いのだ。

良く見てみると、イタレリや一部の海外メーカーキットのように、モールドの端っこが丸っこくなっていることによる甘さはないのが分かる。
ちゃんと、モールドの端のエッジが立っているのだ。なので、シャープ感はある。
フォルム再現も、かなり高レベルだと思う。

なので、タミヤ1/32をもって、イーグル系は救済とすることもできると思う。
が、結局は90年代のキットなのだと思う。

山ほどキットを見ているとよく分かるのだが、2000年代に入って模型を製造する技術に革新があったように感じる。
これは、国内、海外、キャラクター、スケールを問わずだ。

80年代、金型製造技術がほぼ確立されたと思う。
今の目で見ても80年代のキットをダメキットと感じないのは、これに起因すると思う。

そして、90年代。80年代の技術をさらに進化させ、それまでの技術としては究極レベルにまで達したのだと思う。
だから、90年代のキットは良キットが多いのだろう。
この1/32F-15もその到達点とも言える素晴らしいキットだ。

が、おそらく2000年代。それまでの技術を根底から覆す技術が生まれたのだと思う。
それがCADなのかは、現場で仕事に携わったことのない私には分からない。
仮にCADだったとしても、それを金型に起こすのはまた別の技術が必要だろうし、CAD一つですべてが解決するわけでもないと思うが。

いずれにしても、2000年代には入るのと前後して、確実に革新はあった。
それはパソコンの普及と高性能化と無関係ではないだろうが、ともあれ、この革新によって、これまでの造型を陳腐化させる模型を作れるようになったことは確かだ。

12年もの歳月が間に横たわっているわけだが、同じタミヤの1/32のF-15とF-16を並べて比べてみればわかる。
そこに注ぎ込まれた技術の歴然とした格差に唖然とする。

簡単に言えば、90年代は80年代の延長線上なのだが、2000年代は90年代とはまったく異質な世界に到達したのだ。

タミヤ1/32F-15が間違いなく傑作キットだ。
やや太いにしても、シャープなモールドは美しいし、リベット跡もキチンと入っている。
が、2000年代の模型を多く見てきた私には、「充分」ではあるが「満足」ではないのだ。

特にF-15は、20世紀を生きてきた私にとっては重要な戦闘機だ。
だからこそ、厳しい目になってしまうのだろう。

これまで、F-15はほとんどのメーカーによってキット化されてきた。
が、それらのキットは古く、また劣化コピーだったりで、しかもメーカーにリメイクする気概もないため、「実戦の中で、最強を証明した機体」としては残念なことに、長らく決定版がなかった。
結局、ハセガワが出した20年以上も前のキットを決定版として有り難がるほかなかったわけだ。

近年、エアモデルにも攻撃に徹するメーカーが出てきた。
残念ながらそれは国内メーカーではないが、2000年代の技術でもってキットをだしているので、私には有り難い。
いずれ、F-15も新金型として、これらのメーカーがやるだろう。

何を持って救済とするか。
難しい話であるが、少なくとも20年前のキットが救済足り得たとしたら、模型業界もお仕舞いだろう。

ちなみに、1/48ではレベル・モノグラムのF-15Eも素晴らしいデキだと思う。

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○Su-27

これも微妙である。F-15ほど数が出ている機体でないにせよ人気があり、近年完成品が沢山出ている。
完成品など面白くもないものに興味はないが(かといってキットを作るモチベ維持はこんなんだけど)、どれをとっても決定版とは言い難いものばかりだった。

が、やはりここ数年、Su-27系のキットも充実してきており、ある意味では1/32トランペッタ-をもって救済とすることもできる。
マニアに言わせれば形状の違う箇所が散見されるらしいが、私はかなりいいキットだと思う。
が、いかんせん1/32なのだ。60cmを超える大型キットなのだ。

エアモデルは人型のキャラクターモデルと違って、かなりかさばる。
なので、できれば1/72で、最悪1/48までで何とかして欲しいのだが・・・。

1/48では、救済されたキットとして書いたSu-30の原型として27は発売されている。
機首がおかしな感じだが、改造すればいい感じのフランカーにはなるのかもしれない。
が、私にはエアモデルを改造する技術はない。
あれだけ細かいモールドやリベットを自分で掘り込むことを想像するだけでえずいてしまう。

ま、F-15Eと同様に、近々トランペッターが1/72でJ-11Bとして出す予定なので、救済される可能性が高い。

最近、旭日昇天な勢いのアジアメーカーだが、やはり国内メーカーに技術的には及ばないらしく、モールドやリベットなどは詳細に再現されているのだが、その質は物足りない。
モールドはまだいいとしても、リベット跡は詳細にみると、丸い針で刺したようになっており、リベット周辺まで凹んでいるのだ。
これが国内キットだと、リベット跡だけ凹んでいて、その周辺は凹んでいないのだ。
言葉で説明するのは難しいが。

なので、詳細なリベットはディテールフェチの私としては嬉しいのだが、面がゆがんでいるように見えることが多く、「やはり技術的には国内メーカーに及ばないな」と思うわけだ。
是非とも国内メーカーに出して欲しいところだが、異常にフットワークが悪いので、まず無理だろう。

無いより遥かにマシなので、アジアメーカーには、このままハイパーディテールの道を突き進んで欲しいと思う。
同時に、国内メーカーには、行動力を期待する。

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○グリペン

現時点で、イタレリしかキットを出していないので(レベルが出してたっけ?)、グリペン好きの心情は推して知るべしだろう。

イタレリというメーカーは信用に置けないメーカーで、フォルムは悪くないし、発売ペースは速いし、兵装も沢山付けてくれるのは有り難いが、精密さなどは一切なく、モールドなどは本当に適当だ。
形さえあってれば、それでいいだろ!的なキットばかりだ。

世の中には、イタレリしか出していないキットが多数存在する。
YF-22/23、X-32/35など。
が、どれもヘンテコキットである。
グリペンも同じで、モールドはダルダルだし、リベットなんてあるわけが無い。
大体、90年代に発売したキットなのに、凸モールドなんてやっているのはイタレリくらいなものだろう。

今後、グリペンが救済されるかは難しいところだが、いずれアジアメーカーが出しそうな気はする。
ホビーボスとかがね。ラファールもだしていたし。
ハセガワが数年前にドラケンを出したし、1/48で出してくれると嬉しい。

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ここまで書いて気がついた。

「救済された機体」以外は、全部「救済されなかった機体」じゃん!!
なんか書きづらいなあって思ってたら、それ以外全部だからだよ!!
あげればキリがないからだよ!!

クフィルもハインドもF-20もミラージュ系もタイフーンもMig-17もSR-71もジャギュアも、アレもコレもソレも全部、救済されていないのだな。
無駄なことをした・・・。

書いてて思ったこと。
自分が好きな機体は、かなりハイレベルなキットが出ていないと満足出来ない。
が、大して好きでもない機体だと、ソコソコのキットがあれば満足できる。

私にとって、F-14.15.16はかなりハイレベルなキットでなければ満足出来ないが、F-4などはハセガワのキットで充分素晴らしいキットだと思えてしまう。
それ以外、それ以上を探そうとしない。
ま、実際、ハセガワF-4はいいキットだと思うけど。

最近知ったことなんだけど、エデュアルドってコクピットやノズルなどのアフターパーツ専門メーカーかと思っていたけど、フルキットもだしてんのな。
Mig-21.29とか。
29はよく分からなかったけど、21は素晴らしいデキに見えた。欲しくなってしまった。

いずれにしても、エアモデルは、キャラクターモデルとは違って、甘い造型が許されないシビアな模型だ。
メーカーさんの努力も凄まじいだろうし、ディテールを掘り込む作業たるや、想像を絶する面倒な仕事だろう。
いいキットを見ると興奮するが、模型野郎としては、いいキットをただ消費していくだけではダメなのだなと思う。

模型は、完成品や、またジャンルは変わるがゲームなどの娯楽と違い、消費されていくものではない。
いいキットは確実に時代を超えて受け継がれるし、また売れ続ける。
バンダイのように、その場その場での決定版を出すことは、キャラクターモデルだからこそできることで、入れ替わりが30年を超える戦闘機だと、どうしてもメーカーも攻めづらくなってしまうのだろう。

だからこそ、ハセガワもタミヤも腰が重くなってしまうのだろうが、このままのペースで行けば、近い将来、エアモデルの主役になっているのはアジアメーカーになるだろう。
遺産は大事だが、模型は同時に技術による再現が最も物を言う世界だ。
かつての傑作キットも、次の日には新製品が出て陳腐化されてしまうかもしれないのだ。

今年、ハセガワは何個の新金型製品を出しただろう?

経験上、確信を持っていえることだが、売ろうとするから売れるのだ。売れるものだから売るのではないのだ。
これでは、ただの消費になり、一過性で終わる。
バンダイが証明しているではないか。
ボトムズもR3も、数対出して終わりにするから止まるのだ。シリーズを続けていくことの重要性を本質的に理解していないのだ。
結局、バンダイの出しているキット群でシリーズが続いているのは、MGとHGUCくらいだ。
この二つをやめれば、バンダイは模型から撤退せざるを得なくなるだろう。

あれだけ版権囲い込みをしているバンダイだが、結局のところ、ガンダムに頼らないと何にも出来ない、情けない模型メーカーなのだ。

流れは自分で作るものだ。流れに乗ることは危険だ。
スケールモデルが売れなくなったのではない。
売れるスケールモデルを作っていないだけだ。

では、売れるキットとはなんなのか?

答えはバンダイが、コトブキヤが、ボークスが出しているではないか。

と言っても、結局は時代を見ていない、というかかつてのやり方に固執する人間が決定権を持っている以上、何も変わらないのだけどね。
コダワリとは、長所ともなり得るが、短所になる可能性のほうが大きいのだ。

なんとか自己変革を遂げてくれ。ハセガワさん。
エアモデル好きの私には、ハセガワさんが頑張ってくれないとつまらないのだ。

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